阪神電車では、ほぼ芦屋市内のみが地平を走ります。芦屋市は2018年度に立体交差化の方針を発表していますが、統一地方選を経て6月から令和元年度本会議が開催。そこで、立体交差化はどうなったのか、議事録を見てみた次第です。
こちらは阪神打出駅ですが、芦屋市内の打出駅はこのように地平ホームとなっており、市内のもう一駅である芦屋駅とともにホーム両側に踏切があります。
もちろん駅間にも踏切があります。すでに武庫川~甲子園が立体交差化され、さらに2020年春までに芦屋~魚崎の神戸市内が立体交差化されることで、阪神本線・阪神なんば線の踏切の2/3ほどが芦屋市内に集中することになります。
ところで2018年度に、山中・前芦屋市長は施政方針演説で「阪神の立体交差化」について言及していました。しかし、2019年4月の統一地方選で山中市長は出馬せず引退。震災の際に選挙を6月に延期した影響で新市長・議員の任期は6月からとなるため、本会議の開催も2ヶ月遅れとなって(今回の任期が3年10ヶ月に短縮されることで次回選挙からは解消)、しばらく動きがありませんでした。
で、ようやく6月下旬から開催された本会議の議事録。ようやくWEBで公開されたので、見てみると、さっそく質疑応答がされていました。
◆17番(帰山和也君)
(略)
いとう市長は、さまざまな具体的な政策、施策を掲げて選挙戦を戦われました。新たな視点で新たな施策に取り組むことは必要です。先ほど述べたような現在進行中の事業についても、それ相応の事業費が見込まれていますし、例えば政策集に掲げられている阪神電車の立体交差化、阪急芦屋川駅周辺の整備事業、無電柱化の推進などは、本市にとって大きな財政出動が見込まれる事業となります。これら事業の優先度や実施時期、財政上の裏づけ、財政規律に関するお考えなどについて、御所見を伺いたいと思います。
お、さっそく見つけました。
さて市長の返答は?
◎市長(いとうまい君)
(略)
阪神電気鉄道の立体交差化や阪急芦屋川駅周辺の整備は、今年度、都市施設の整備優先度等の検討を進める中で、本市の都市構造の課題等を踏まえ、実現性・整備効果等の評価を行い、また財政的な負担も考慮し、中長期に実施すべき事業などの方向性を明らかにしてまいります。
ほーう、今年度に何らかの指針が出るらしいです。
ほかの議員も質問していました。
◆12番(中村亮介君)
(略)
次に、阪神電気鉄道(打出駅)の立体交差事業について、お伺いします。
平成30年度施政方針説明において、当時の山中市長は、JR芦屋駅南地区の市街地再開発事業、道路の無電柱化推進とともに阪神電気鉄道の立体交差事業の検討の必要について言及されました。
阪神打出駅の高架事業については、朝のラッシュ時において踏切が閉まりかけているのにかかわらず、かいくぐって渡っている人も多く、私はとても危険に感じます。通勤・通学の安全確保の視点から、着実に進めていくべきだと考えますが、現段階での市の方向性について、お伺いします。
前市長の方針をベースに同様の質問をする議員もいました。
ちなみに番号は議員の出席番号のようなもので、発言順ではないようです。
◎市長(いとうまい君) =登壇=中村亮介議員の御質問にお答えいたします。
(略)
次に、阪神電気鉄道の立体交差化は、通行の円滑化及び安全性の確保を図る上で、有効な手段と認識しておりますが、本市の財政状況の影響などを鑑みながら、今年度、都市施設の整備優先度等を検討する中で、方向性を明らかにしてまいります。
(略)
やっぱり今年度中になにかの発表をするそうです。
ちなみにこの議員は質問のあとも所見を述べていました。
◆12番(中村亮介君)
(略)
続きまして、阪神電気鉄道の立体交差事業について。
ちょっとこれも今、財政状態を見ながら各事業のプライオリティ--優先順位をつけた上で進めていくという答弁は、よくわかりました。僕の思いだけ言わせてください。
阪神電気鉄道の立体交差事業を進めるためには、相当程度の時間と行政側の血の出るような粘り強い努力、それから忍耐が必要となることが予想されております。実際に事業が完成したときには、近隣にお住まいの皆様方の世代も変わる。それから、議会を構成しているこのメンバーもかわる。それから職員の皆様のメンバーもかわっているかもしれない。
しかしながら、私たちは市民の皆様の通勤・通学等、こういった移動手段としての安全面を確保するためにも、立体交差事業を着実に進めていくべきではないか、という思いをお伝えして、この阪神電気鉄道の立体交差事業に関する質問を終わらせていただきます。
(略)
たぶん土地の買収で血の出るようなことになるんだなあという気はしますね。
結局の所、なにか進んだという感じはしませんね。
とりあえず、立体交差については今年度中に何かアクションがあるということがわかりました。あと半年も無いですが、9月・12月・3月に定例会があるのでそのあたりが楽しみですね。
ただ、なかなか進まないのも仕方ないところがあるのかもしれません。
◆7番(大塚のぶお君)
(略)
次は、財政です。
投票日直前の4月18日付毎日新聞の記事には、いとう市長は市長候補として、芦屋市の財政運営の考え方について、「起債残高は依然、500億円を超える現状だ。人口構造の変化による社会保障の増大、凍結していた施設整備の着手、多発する天候被害などから、選択と集中に知恵を加えた慎重な財政運営が求められている」と答えています。
(略)
芦屋市の平成29年度の財政の健全度を示す経常収支比率、これは112.6%と、望ましいとされます80%以下を大幅に上回っています。そして、ことし2月に財政当局から出されました向こう9年間、2028年までの長期財政収支見込みはマイナス81億円です。
阪神大震災のあとの復興関係で債務は最大1,119億円まで膨らんだらしいので、それからするとだいぶ減っているわけですが、それでも小さな市の規模からするとなかなか踏み切れないのかもしれません。
ご覧いただきありがとうございました。